英空軍基地に近いフラットがアジト

 3人は長く英国に住み、さまざまな仕事に就いていた。関係先のホテルでパスポートや運転免許証を偽造する機材も見つかった。国家機密法は「敵国」にとって有益な情報の入手や開示など英国の安全や利益を害する目的で行われる特定の行為を禁止している。機密情報や企業秘密の入手や開示、外国情報機関のほう助がスパイ活動に当たるとして罰している。

 彼らはいずれも王族や閣僚、外国首脳が頻繁に利用するロンドンのノーソルト英空軍基地から約1.6キロメートルしか離れていないフラットに住んでいたことが英紙デーリー・テレグラフの取材で明らかになっている。ルセフ被告の現在の住所はノーフォーク州にある海辺のゲストハウスだった。

 ルセフ被告はロシアでビジネスをした経験があり、2009年に英国に移住、金融サービスの技術職として3年間働いた。その後、通信や電子信号の傍受を行うインテリジェンスに関わるビジネスを経営していた。親露派のブルガリア社会党員が率いていたブルガリア・エネルギー省のアドバイザーも務めていたことがある。

 ザンバゾフ被告は病院の運転手で、イヴァノヴァ被告は民間医療事業の検査助手をしていたとされる。約10年前に英国に移住した2人は、ブルガリア人に「英国社会の文化と規範」に慣れ親しんでもらうコミュニティー組織を運営していた。英国在住のブルガリア人が母国の選挙に投票するのを促すためロンドンにあるブルガリアの選挙管理委員会でも働いていた。