8月23日、プリゴジン氏が搭乗していたとされる自家用ジェット機が墜落した(提供:Ostorozhno Novosti/REX/アフロ)

 ロシア当局は23日、民間軍事会社ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジン氏を乗せた自家用ジェット機が墜落したと発表しました。SNSのテレグラムではワグネル関連のチャンネルが、プリゴジン氏が死亡したと伝えています。

 プーチン大統領の「汚れ仕事」を担ってきたとされるプリゴジン氏は、ロシアのウクライナ侵攻で多くの戦闘員を送り込み存在感を高めてきました。一方で国防省の方針などに不満を募らせ6月にはワグネルを率いて武装反乱を起こし、その後、ロシアの隣国ベラルーシに移動するなどしていました。

 そもそもプリゴジン氏とは何者でしょうか。そして、今後の戦況にどのような影響を与えるのでしょうか。JBpressに掲載してきたプリゴジン氏に関する記事をまとめました。

(配信先のサイトでご覧になっている場合、下記の関連記事リンクまたは「JBpress」のサイトから記事をお読みください)

テレグラムのワグネル関連チャンネルに投稿された、プリゴジン氏が搭乗していたとみられるプライベートジェット機の墜落シーン(提供:Gray_Zone/UPI/アフロ)

プーチンは裏切りを許さなかった、ワグネル創設者プリゴジン死す
「ロシアの防空網によって撃墜された」ワグネル関連チャンネル
(8/24 JBpress掲載)

[ロンドン発]モスクワの北西にある露トヴェリ州で墜落し、乗客7人乗員3人が全員死亡した民間航空機に「プーチンの料理番」こと露民間軍事会社ワグネルグループ創設者エフゲニー・プリゴジン(62)と同ドミトリー・ウトキン(53)が搭乗していたと23日、ロシア民間航空局が発表した。航空機はモスクワからサンクトペテルブルクに向かっていた。

 英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)のロシア・ユーラシアプログラム副ディレクター、オリシア・ルツェビッチ氏は英BBC放送にこう語った。

「プリゴジンは6月にワグネルの反乱に失敗して以来、いつまで生き延びられるのかと専門家は推測してきた。ウラジーミル・プーチン露大統領にとって明らかな裏切り者の彼は代償を支払わされたようだ」《続きを読む》

かつてはプーチン氏と蜜月の関係にあったが・・・(写真:AP/アフロ)

プリゴジンの乱が見事に炙り出した、ロシア地上軍の激しい損耗度
ウクライナの反転攻勢が3か月続けばほぼ壊滅か
(6/30 JBpress掲載)

 エフゲニー・プリコジン氏と彼が率いるワグネル部隊は武装蜂起(6月23~24日)し、ロシア・ロストフ州内の南部軍管区司令部を占拠した。さらに北方に移動して、ボロネジ州ではロシア軍攻撃ヘリを撃墜。モスクワに向かって前進し、モスクワまであと200キロのところまで到達していた。

 モスクワに向かう道路には、砂を積んだ大型トラックが道路を塞ぐように置かれていた。これらの車両は、軍の戦闘車に簡単に押し出されてしまうので、ほとんど無意味なことであった。《続きを読む》

プリゴジン氏率いる民間軍事会社ワグネルはアフリカなど「グローバルサウス」で暗躍した(提供:PMC Wagner/Telegram/ロイター/アフロ)

プーチンはプリゴジンを暗殺できない?「汚れ仕事」を任せた都合のいい存在
廣瀬陽子・慶應義塾大学教授「プリゴジンの処遇が世界の未来を左右」
(6/28 JBpress掲載)

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創始者であるエフゲニー・プリゴジン氏の武装蜂起は、同氏の撤退により未遂に終わった。だが、先行きは予断を許さない。『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』 (講談社現代新書)でワグネルやプリゴジン氏の実態を詳報した慶應義塾大学総合政策学部教授の廣瀬陽子氏に話を聞いた。廣瀬氏は断定的なことは言えないとしつつ、プリゴジン氏の暗殺やワグネルの解体は起きないのではないかと分析する。その理由は?《続きを読む》

民間軍事会社ワグネルはプーチン氏の「汚れ仕事」を担ってきたとされる(写真:Russian Look/アフロ)

ワグネルが暗躍するハイブリッド戦、ウクライナだけではなく日本も「戦時中」
廣瀬陽子・慶應義塾大学教授に聞く、ChatGPTの普及や訪日外国人急増もリスクに
(6/27 JBpress掲載)

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」のトップ、プリゴジン氏がプーチン政権に対して起こした武装反乱で、ロシア・ウクライナ戦争は重大な局面を迎えている。ワグネルはプーチン政権の下で「ハイブリッド戦争」も担い、2014年以降のウクライナ危機などで暗躍してきた。ハイブリッド戦争とは、従来型の戦闘だけではなくサイバー攻撃やプロパガンダなども含む複合型の戦争のことだ。

 ロシア・ウクライナ戦争では当初から、双方ともハイブリッド戦争を仕掛け合ってきた。国際政治が専門で、慶應義塾大学総合政策学部教授の廣瀬陽子氏は、ウクライナが善戦している背景にも同国がハイブリッド戦争への耐性を養ってきた事実があると分析する。《続きを読む》

6月のワグネル武装反乱では一部のロシア市民に歓迎された(写真:ロイター/アフロ)

ルカシェンコが明かすプリゴジン説得緊迫の舞台裏、嘘がバレたプーチンの赤恥
お手上げ状態のプーチンを尻目に「欧州最後の独裁者」はどう説得したのか
(6/30 JBpress掲載)

「プーチンの料理番」ことエフゲニー・プリゴジン率いるロシア民間軍事会社ワグネルグループ部隊の「プリゴジンの反乱」を24時間も経たないうちに収束させた仲介役、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が27日、国営メディア「ベルタ(BELTA)」で舞台裏の一部始終を雄弁に語った。

 ベラルーシはロシアと国家連合を組んでおり、ウクライナ戦争ではロシア軍がキーウを攻撃する通り道として使われた。ルカシェンコはロシアの戦術核兵器のベラルーシへの搬入が最近、始まったことを明らかにしている。ルカシェンコには、ウラジーミル・プーチン露大統領より自分を大きく見せるとともに、プリゴジンとワグネルに与えたベラルーシ国内での安全を確実にする狙いがある。《続きを読む》

かつてプリゴジン氏は「プーチンの料理人」と呼ばれた(写真:AP/アフロ)

プリゴジンの「信用失墜」に成功したプーチン、どうなる「料理番」の運命
ワグネルはベラルーシで軍事訓練中、プーチンの狙いは「プリゴジンとの分断」
(7/18 JBpress掲載)

 ウラジーミル・プーチン露大統領は民間軍事会社ワグネルグループから「プーチンの料理番」こと創設者のエフゲニー・プリゴジンを排除しようとしたが、失敗していたことを露の有力日刊紙「コメルサント」(電子版7月13日付)に明らかにした。プーチンは「プリゴジンの反乱」5日後の6月29日クレムリンでプリゴジンと35人のワグネル司令官と面談していた。

 ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官はこれに先立つ7月10日、プーチンとプリゴジンらの面談を認め、「大統領は『特別軍事作戦』中の前線におけるワグネルの功績を称え、6月24日の出来事(プリゴジンの反乱)の評価を下した。大統領は司令官たちの説明に耳を傾け、彼らに雇用のさらなる選択肢と契約を提示した」と説明していた。《続きを読む》