このように日米韓協力を強調できるようになったのは、過去1年間の日韓関係改善に実績があるからである。
日韓関係改善が可能とした日米韓協力
尹大統領が日韓関係の改善に本格的に取り組みだしたのは、今年3月1日の独立記念日演説以降だろう。同演説で尹大統領は「3・1(独立)運動から1世紀が過ぎたいま、日本か過去の軍国主義侵略者からわれわれと普遍的な価値を共有し、安全保障や経済、そしてグローバル・アジェンダで協力するパートナーに変わった」と述べた。
3・1独立運動記念日は8月15日と並び、日韓の歴史問題がクローズアップされる。その日に昨年の光復節の演説からさらに踏み出し、日韓を「普遍的な価値を共有」する「パートナーに変わった」と述べたのである。この発言には、徴用工問題解決に向け、国内の反応を瀬踏みする狙いもあったのであろう。
そして、この発言に対する国内の反応は穏健なものであった。
ソウル市内では民主労総系の労働組合や保守系団体によるデモが行われたが、それを除けば、今年の3・1節記念日における韓国の雰囲気は例年とはガラッと異なるものであった。
多くの韓国国民は、3・1の反日デモに参加するより、観光目的で訪日する方を選んだ。3月1日の日本行きの航空便はほぼ満席状態であった。韓国人にとって歴史認識の差異に基づく反日感情はだいぶ薄くなってきた証拠とも言える。
3・1独立節での国民の反応を受け、尹大統領は徴用工問題に関する解決案を確定し、これを携えて訪日した。