米国については「普遍的価値で結ばれた平和の同盟であり、繁栄の同盟だ」と述べているが、それと比べても日本に対する言及は、「同盟関係」という部分を除けば、ほとんど遜色がないほど、強い協力関係を謳っている。そして「朝鮮半島や域内において韓米日の安保協力の重要性が日増しに高まっている」と、日米韓3か国の協力体制の強化を志向するものとなった。

国内の“反国家勢力”を厳しく糾弾

 尹大統領は、演説で韓国国内に中国や北朝鮮に追従する勢力があるとも力説している。

 尹大統領が4月27日、北朝鮮の核に対する拡大抑止を柱とするワシントン宣言を発表した日、前大統領の文在寅氏は、「心配なのは…むしろ競争するかのようにお互いを刺激して敵対視し、不信と反目が一層高まっていることだ」と不快感を表明した。

 こうした主張に与する文在寅シンパや共に民主党支持者に釘を刺すことを狙ったのだろう。光復節の演説では「自由民主主義と共産全体主義が対決する分断の現実において、反国家勢力の動きは容易には消えないだろう」「共産全体主義に盲従し、操作扇動で世論をわい曲し、社会をかく乱する反国家勢力が依然として横行している」として、北朝鮮と共闘する“反国家勢力”を強く牽制した。

 尹大統領は北朝鮮の核とミサイルを遮断するためには日米韓3か国での緊密な偵察資産(兵器)と北朝鮮の核ミサイル情報のリアルタイム共有が必要だと指摘している。また、日本については「日本の国連軍司令部に提供する7か所の後方基地は、北の南進の最大の抑止要因になっている」としてここでも日韓協力の重要性を指摘した。