尹錫悦大統領の覚悟は不変

 それでも日韓関係改善の道は平たんではなかった。

 韓国ギャラップが4月1日発表した世論調査によれば、徴用工問題で尹錫悦大統領が発表した解決案(韓国政府が設立した財団が韓国国内で寄付を集め、日本企業に代わって元徴用工にカネを支払うという方式)に対し、「日本の謝罪と賠償がなく反対する」との答えが59%であった。「韓日関係と国益のために賛成」との回答は35%であった。

 尹大統領の支持率もすべての世論調査で数パーセントであったが下落した。

 そうした中でも、尹大統領は日韓関係改善のために努力を重ねた。3月16、17日には夫妻揃って日本を訪問。岸田文雄首相との首脳会談では、今後の日韓関係を進める基盤作りに多くの成果を上げた。

 またこのとき、両国の首脳が形式にとらわれず頻繁に訪問するシャトル外交を再開させることで合意した。

 政府間において、多岐にわたる分野で意思疎通を活性化していくことでも一致した。日韓安全保障対話、日韓次官戦略対話の早期再開や新たな経済安保に関する協議など多岐にわたるものである。

 尹大統領の努力に岸田首相も応えた。その後の日韓協議で輸出管理の分野において、日本が3項目の輸出規制を緩和し、ホワイト国に再指定することになったのだ。