テキストでの対話では人間に勝ち目なし

——ただ、先ほどの話でもありましたが、「社内版GPT」が出てくると、こうした分野も安泰ではないのでは?

:例えば、「A社の前社長の株主総会での発言を拾ってこい」と社内版GPTに教えたら、すぐに情報を取ってきますから、一定の領域では生成AIの活用は進むかもしれません。人間よりもはるかに速く、正確にデータを処理できるわけで、知識とテキストをベースにされたら人間には勝ち目がないですよ。

 ただ、社内版GPTに関しては、システムによっては情報漏洩のリスクもあります。当たり前ですが、何かトラブルが起きた際に生成AIを「罰する」ことは不可能なわけです。各国政府が規制に躍起になっているのも理解できます。

——呉さんは今年会長になりました。大変な時期に業界を背負うことになりましたね。

:会長になったまさにその年にChatGPTが出てきて、こういう企画のインタビューを受けているというのは、なんというか象徴的だなと思いますけど(笑)。

 ただ、私の会長としてのミッションは、業界の地位向上と業界の変革をリードしていくところにあります。ものすごく大事な時期に会長になったなと思います。

 今回お話しした通り、ChatGPTをはじめとした生成AIの登場は、コールセンター業務にとって間違いなく脅威ではあります。ただ、この脅威をチャンスに変えられることもまた事実。時代の風を読みながら、クライアントとお客様に本当に必要とされる業界になっていきたいですね。