ラ・サマリテーヌは1870年創業。パリ市民ならば誰もが知る老舗百貨店だ。日本と同様に百貨店離れが進み、2000年代に入ってLVMHグループが買収。2005年からは安全確保と改修工事のため閉店していた。曲折があり、再オープンまで16年もかかった。

 建物は、歴史的建築のポンヌフ棟と、新築のリヴォリ棟から成る。

 まず目につくのは、SANAAの設計で新築したリヴォリ棟のガラスの外壁。波形のガラスの繰り返しによって、リヴォリ通りの対面の歴史的街並みを映し出す。建設過程では「パリの街並みにそぐわない」と物議を醸したそうだが、筆者が見た印象では、歴史的街並みを再構成したように見え、唐突さはない。

リヴォリ棟のガラス外壁