(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「ウクライナ支援で欧州だけでなく日本人も立ち上がった」

[ウクライナ中部クリヴィー・リフ発]「欧州が対応しているだけでなく、日本人も立ち上がったことを指摘したい。日本人は予算面でも積極的だ。関与の面でも力を発揮してくれた。日本はウクライナ支援を強化した。そして21世紀において土地の征服以外に何の口実もない明白な侵略が起こることは欧州だけでなく世界のあらゆる場所で危険であることを認識している」

 ジョー・バイデン米大統領は8日、第二次大戦以来「特別な関係」を維持する英国のリシ・スナク首相と新たな経済パートナーシップ「大西洋宣言」を発表したホワイトハウスでの共同記者会見で唐突に、ウクライナへの日本の貢献について言及した。

 米国が敢えて日本に言及したのはウクライナ支援への感謝というより台湾有事を念頭に置いているのは明らかだ。

ホワイトハウスで共同記者会見するスナク英首相とバイデン米大統領(スナク氏のツイッターより)

 1991年、湾岸戦争でクウェートが解放された後、同国政府が米紙ワシントン・ポストなどに掲載した感謝広告に30カ国の国名が並んだが、日本はなかった。日本は湾岸当事国を除けば最大規模の130億ドル(約1兆8100億円)を多国籍軍に援助したものの、完全に無視された。今回のウクライナ支援でも憲法9条の縛りがある日本の貢献は決して大きくない。

 米欧はロシアとの戦争に巻き込まれ、核戦争に発展するのを警戒してウクライナ戦争に直接関与するのを避けてきた。武器供与も当初はウクライナが負けるのを回避することを最優先にしていたが、現在はロシア軍をウクライナ領土からできる限り駆逐してウクライナを勝利させることにシフトしている。