何もかもコントロールできたジャニー喜多川

アザール:強烈な印象を受けました。しかし、日本に向かう前にこの点は調べて知っていました。日本のメディアはジャニーズ事務所と共依存関係にある。報道機関も放送局もイメージの権利を売る会社もみんな、ジャニーズのタレントを使えなくなると困る。広告費や視聴率が落ちることに恐怖を感じる。

 喜多川氏の写真が使えないばかりではなく、ジャニーズ事務所の問題に触れる記事を出すことさえ難しくなる。私はこの点で週刊文春を評価します。文春は数十年間にわたり喜多川氏の性加害を報道し続けてきた。とても素晴らしい仕事をしたと思います。それに対して、多くのメディアは本件を黙殺してきた。

──通常、大手企業や有名企業のCEOであれば、自社のウェブサイトに写真を載せます。報道機関なども写真を持っているし、それを他社も使うこともできる。しかし、ジャニー喜多川氏の場合はほぼすべてを隠しています。

アザール:とても違和感があります。彼は国際的にも知られている人物です。私が彼を最初に知ったのはギネスの世界記録でした。(「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」や「もっとも第1位のシングル曲をプロデュースした人物」として、喜多川氏は2010年にギネス世界記録に認定された)。

 成功して世界に知られた人物なのに、使用可能な彼の写真はごくわずかです。ここから分かることは、彼は何もかもコントロールする力を持っていたということです。その支配力は想像を超えます。自分の印象さえ操作できたわけですから。

 マイケル・ジャクソンだって自分の好まない写真が出回ることを止められなかったし、英王室やダイアナ妃だって報道をコントロールすることはできませんでしたが、喜多川氏にはそれを可能にする力があった。

 彼の好まない写真や記事を載せれば切られる。日本で、何人もの人からそう聞かされました。これはとても問題です。

──喜多川氏は13歳や14歳といった年齢の少年たちを襲いました。抗えない少年は多く、こういったことを知っていて、子どもをジャニーズに置いていた少年たちの親もいるそうです。こういった環境を厭わないアイドル志望の少年たちや、こういった事実を皆で結託して隠してきた日本のエンターテインメント界をどう思いますか。