ホストクラブで働くジャニーズOBに受けた衝撃
アザール:日本での取材中に最もショッキングだったのは、レンという名前の若者に出会った時でした。彼は現在、大阪のホストクラブで働いています。私もこのドキュメンタリーの監督も彼と親しくなり、たくさん話をしました。彼はジャニーズに入り、喜多川氏と何度も会っていた。
彼自身は性被害は受けていませんでしたが、他の人の話は聞いていたようです。「もし喜多川氏と性関係を持てばスターになれるならば、その提案を受ける」。彼は取材の中でそう言いました。彼にとって、それはお金と同じように交換可能なものなのです。
米国や英国のエンターテインメント界には「Casting Couch」という言葉があります。権力を持つ監督やプロデューサーが持ちかける交換条件です。私が日本で見たものは、この「Casting Couch」の極端な例です。あまりにも取引で、感情や倫理が入り込む余地がない。
私は性文化や性産業に関するドキュメンタリーも制作してきました。合意があり、大人同士ならば、どんなセックスがあってもいい。この2つの点は絶対必須です。しかし、子供にはそのことを判断する力はない。この年齢の子どもたちにグルーミングして、性交渉を持ったことが最大の問題です。
──ドキュメンタリーの中で、あなたは藤島ジュリー景子社長に何度かインタビューを試みています。ジャニーズ側が徹底的に拒絶し、あなたは最後にジャニーズ事務所を訪問して、PR担当と警備員に追い出されています。その時に、あなたは「彼らには人の心が無いのか」と吐き捨てました。
アザール:その時のことで言及すべき明確な人物がいます。カイという名前の人物でジャニーズの幹部のようでした。彼は西欧人です。エレベーターから降りてきた彼はマスクをしていましたね。
私は撮影前にもジャニーズ事務所に何度も連絡しました。何度も電話をかけたし、メールもしました。ドキュメンタリーの監督を務めたメグミ・インマンも同じように連絡しました。ジャニーズ事務所が我々に回答できる機会は無数にあった。性加害の実態について弁明する機会は何度もあった。
私たちはジャニーズ事務所で撮影を止めるように言われ、そこで止めました。私に証言してくれた人たちは性的被害を語りました。「喜多川氏は幼い少年たちと性関係を持った」と私は言った。
こういった問いに対する、ジャニーズ側の対応は非常に不適切でした。