競争激化の国内市場を避け、国外に活路

 このように大きな市場となった新茶飲ですが、新規参入が相次ぐほか、新商品の開発も活発で、競争は激しさを増しています。割引セールやクーポンの頻発が、利益を減らす要因にもなっています。

 さらに、店舗従業員や店舗賃貸のコストが年々上昇しています。上海、広州、北京といった大都市では店舗スタッフの給与が7000元に迫ることもあり、これは現地の大学新卒者とあまり大きな差がありません。

 新茶飲企業として初めて上場した奈雪的茶(旧名:奈雪之茶)の2021年度は1億4500万元の赤字となり、4年連続の赤字となっています(「奈雪的茶去年亏损1.45亿元,今年预计新开店350家」)。

 高級路線の喜茶(HEYTEA)は、広東省の地方都市から全国に規模を拡大したというサクセスストーリーが紹介されていますが、競争激化で戦略転換を余儀なくされました。主力を30元の価格帯から、15元台の商品に移しています。

 このような厳しい状況のなかで各社がとった戦略の一つが、国外進出です。この動きは2010年代後半から強まりました。

 2018年、喜茶はシンガポールの高級ショッピングモールIonOrchardに店舗を開設しました。同年には高級路線でライバルといえる奈雪的茶もシンガポールに初出店しました。

 雲南省に本拠を構える覇王茶姫(CHAGEE)は2019年のマレーシアを皮切りにタイとベトナムにも進出しています。覇王茶姫は中国国内でもまだ知名度が高くないブランドですが、成長戦略として創業直後から国外市場を視野に入れています。

国外市場に力を入れる覇王茶姫(写真は筆者友人より提供)