日本をテーマにした中国広州市のコーヒー店(筆者撮影)

(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 中国で最も一般的な飲み物は伝統的な中国茶であり、コーヒーの消費量はごくわずかです。しかし、最近ではコーヒーの存在感が大きくなり始めています。しかも、単なる“飲み物”としてだけではなく、コーヒーを楽しむ“空間”や“生活スタイル”があわせて提供されるようになっています。そんな、中国におけるコーヒーに関する最新の動向を2回に分けてお伝えします。

前編
巨大市場になるか?中国コーヒー消費
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65280

異業種からの参入企業が狙うもの

 中国では日本における喫茶店やカフェのことを「咖啡館」と呼びます。その咖啡館ですが、単純にお客にコーヒーを提供するだけではない、多様な試みが行われています。

 広州市に2019年にオープンしたTALLLK Caféは、異業種の「愛範兒(ifanr)」という企業(https://www.ifanr.com/)が参入したものです。同社はテクノロジーやデジタル関係のWebメディア事業が主体の企業で、ライフスタイルを紹介する展示会とあわせた「人をつなぐ」というコンセプトで、TALLLK Caféを開業するに至りました。

広州市のTALLLK Café。屋外には実際に宿泊できるキャンピングスペースが設置されている(筆者撮影)

 TALLLK Caféを核に据えた地域共同体の創造計画について、その中心となっている同社の文海氏にお聞きしました。

「中国の若者を取り巻く環境は、競争の激化と時間に追われる生活に変わりつつあり、特に大都市を中心にこの傾向は明らかです。私たちのTALLLK Caféはこの現状の中で、多様な価値観を実現する空間づくりを目標に運営しています」