習近平体制で追い詰められたアリババ
翌2015年4月23日、馬雲会長は、約8000人の社員を集めて開催した「北京社員大会」で、「今後は7つの事業を推進していく」と宣言した。すなわち、ネット通販、ネット金融、物流、ビッグデータとクラウド、ネット広告、ネット越境貿易、その他のインターネットサービスだ。こうしてアリババは、中国だけでなく、日本を含む世界中に飛躍していった。
だが、「アリババの天下」は、長続きしなかった。その最大の理由は、中国が「泣く子も黙る習近平新時代」に突入したことだ。
特に、2017年10月の第19回中国共産党大会で、習近平総書記が強力な「一強体制」を築いてから、アリババへの風当たりが強まっていった。習総書記が進める「毛沢東的社会主義」と、馬会長が進める「鄧小平的市場経済」は、相容れないのである。
その結果、馬雲会長が、創業20周年にあたる2019年9月に退任することで、両者の緊張は、一時的に解消されたかに見えた。
