葉の上に乗ったコオロギ 写真/アフロ

(昆虫料理研究家:内山 昭一)

徳島の高校の昼食で、食用コオロギの粉末を使った食材を希望者に提供したことに端を発する、昨今のコオロギ食騒動。陰謀説まで飛び出す事態に、昆虫食の普及を目指すNPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長でもある内山昭一氏がさまざまな懸念に答える。(JBpress)

コオロギだけがなぜ危険?

 現在、日本ではいちばん多く出回っている昆虫食が、コオロギです。その理由のひとつは、雑食なので餌の選択肢がいろいろあることです(穀物や野菜くずなど有機廃棄物)。また、養殖しているコオロギは熱帯原産なので、日本のコオロギと違って室温30℃ぐらいを保てば通年飼育が可能です。さらに飼育が容易で発育期間が約1.5か月と短く、サイズも大きいことがその理由です。

 昨今、コオロギ食をめぐってネットを中心に、「健康に悪い」「コオロギ市場に血税が使われている」などの騒動が起きています。

 そのほとんどは根拠のないものです。ここでは「コオロギを食べるのは心配」という懸念と、コオロギ食に関連した情報の真偽について、弁明をしたいと思います。

 ただし、コオロギに限らず昆虫は甲殻類アレルギーを引き起こすアレルゲンのトロポミオシンというタンパク質を持っています。ですからエビやカニでアレルギーを発症する人はコオロギなどの昆虫類は食べないほうがいいでしょう。