こちらをじっと見つめるエゾ鹿の群れ(筆者撮影)

(*記事中の画像に一部刺激の強いものがあります。ご注意ください)

 前回の「女性戦場カメラマンと呼ばれた私が『エゾ鹿撃ち』になった理由」の続編である。

(前回記事)https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69113

 初めての狩猟は2003年の冬。日本では猟期というのが決められていて、年度が違えば変わることもあるが、令和3年度の場合は北海道では大体10月頭~3月末まで(地域・狩猟する鳥獣により異なる。管理されている猟区では9月15日~4月15日まで)。仲間が行くのが北海道だったため、自動的にターゲットはエゾ鹿になった。

 銃猟に必要なのは、銃所持許可証と狩猟免許、そして狩猟登録証である。狩猟登録というのは都道府県ごとに行わなければならず、手数料が1800円、第一種銃猟の狩猟税が1万6500円(わな猟や第二種銃猟=空気銃はまた別の料金でだいぶ安い)。その場所で猟をする権利を買うようなもので、有効期限は1シーズンのみ。回数制限はないので多く行けば行くほど1回あたりの単価は安くなるが、1シーズン1度か2度しか行かない場合は割高感が否めない。

原始時代から引き継がれた本能

 さて、初めて猟に参加した私は、まず最初に仲間が撃ったエゾ鹿を「車を使って」運ぶ様子を見て、「ギャーーーーッ」と叫んでしまった。なにも血を見るのが怖かったわけではない(血なら取材現場で散々見てきた)。仕留めたエゾ鹿をバラす(解体)のに適した場所まで移動させるために、死にたてホヤホヤの大きな獲物の首にロープを結わえて雪上を引っ張っていくのだ。

 想像以上のワイルドな方法を目の当たりにして、驚きと、少々の怖さと、そして何より楽しさを感じていた。この時、私の頭の奥にはアニメ「はじめ人間ギャートルズ」のオープニング曲が響いていた。ゴンたちがマンモスを捕った時のような喜びと言ったらいいのだろうか、何か表現できない原始的で本能的な感動に一発でシビれてしまった。

撃ったエゾ鹿を解体しやすい場所まで運ぶ(筆者撮影)