狩猟は残酷な行為なのか

 自然界でひとつの命が失われるということは、抜け殻である肉体が残り、それは他のものたちの恵みとなる。動物だけの話ではなく、昆虫や植物も同じである。

 しかしながら、動物の肉を食べるのを残酷だとする人たちがいる。残酷だから植物しか食べないのだと。この人たちは植物には命がなく残酷ではないというのだろうか。この世に生を受けるというと神聖だが、そもそも生きていくという過程は他の命を奪いながら自らの命をつなぐ残酷な行為だ。肉でも野菜でも乳製品でも、体に必要なものを摂取すればいい。

 もっと驚くべきなのは、野生動物を狩る私のような人間に「どうしてわざわざ殺すの?」と聞いてくる人がときどきいることだ。別に本人はベジタリアンでも何でもない。普通にお肉は食べている人だ。「わざわざ殺す」。非常に短絡的な思考だと言える。そこでわかりやすく答える。

「自分で食べる肉はなるべく自分で獲りたいから。スーパーで買えばいいって? その肉だって誰かが殺した肉なんやけどな」