神山に生まれた自然体験学校「みっけ」
みっけは、子どもが自然や地球を感じることのできる自然体験学校に通わせたいと考えた5人の移住者が立ち上げた学校。それぞれが神山に移住してきた時期はバラバラだが、親しくなる中で価値観と問題意識を共有し、実際に開校まで持っていってしまった。
みっけの校舎とフィールドは沢沿いに開けた元棚田。幅の狭い道路から急斜面を下りたところにある。校舎は真新しい木造の建物だが、それ以外はほぼ手作り。子どもたちが荷物を入れるロッカーは、雨よけのための簡易的な屋根がついているだけの質素なもの。ランチをつくるキッチンも、屋根はついているが吹きさらしでキャンプ場の炊事場に近い。
トイレはさらにワイルドで、男子トイレの小便器は大きめのペットボトルをナナメにカットしたもの。大便器の方はいわゆるコンポストトイレ(バイオトイレ)で、用を足した後、横に置いてあるおがくずを入れ、手動のハンドルを回して攪拌する。もちろん、きれいに管理されているが、都会の学校に慣れた保護者は驚くだろう。
それでも、子どもたちは毎日、山の中を走り回ったり、カゴを編んだり、自分たちの飲み水の水源を辿る探検に出たり、自然の中で五感を通して遊び、その遊びの中から様々なことを学んでいる。
同じ2022年4月に、移住者で元保育士の清家結生が始めた「お山のようちえん ねっこぼっこ」もそうだ。保育園に行くのをぐずり始めた子どもの「パパが先生なら保育園に行くのに」という言葉に一念発起し、神山の仲間の協力を得ながら山の上の古民家に認可外保育園を立ち上げた。
このほかにも、神山のナノブルワリーである「KAMIYAMA BEER」、ビジネス客向けの宿泊施設である「WEEK神山」など、この10年にできた店舗や施設は枚挙に暇がないが、すべて地域住民や移住者が自発的に始めたことだ。