リゾート列車「雪月花」を只見線に走らせるワケ

鳥塚氏:そのときに、「確かに乗客数は少ないけれども、観光客や、撮影派の鉄道ファンがこれだけ来ていて、これだけの経済効果があります」ということをきちんと数値化して説明できるようにしておかないと、「1日3往復のために県がどれだけお金を出したのだ?」という話に絶対になる。

 それから、観光による収入を求めるのであれば、観光列車を導入して福島県が所有し、運転士だけJRが出して下さい、という形にすべきです。私は只見線運転再開のための委員も務めたので、そういう仕組みを作るように福島県に言いました。

 ただ、県にはできない仕事でしょう。であれば、その役割を誰か第三者に努めてもらえば良いのです。それが旅行会社であり、あるいは東武鉄道であっても良いわけです。

 鉄道会社であれば、自前で車両を持っていますし、集客力もある。それを活かしてお客様を集めて、地元とタイアップし、現地までの移動には、バスを使うのでも構いません。

 東京から福島までバスで来て、そこから列車に乗ってもらう。企画する会社は、列車に食材やお弁当を積み込み、お客様を地元のホテルに泊める手配をして、お土産も用意する。そういうプランニングはJR出身者にはなかなかできませんから、旅行会社や私鉄のスタッフが担当する。

 その手始めとして、今回えちごトキめき鉄道のリゾート列車「雪月花」を只見線で走らせる計画をしています。これがうまく行けば、新しい風が吹くと考えています。

桜を車窓に走るリゾート列車、えちごトキめき鉄道「雪月花」。今度、福島県の会津地方と新潟県の魚沼地区を結ぶJR只見線で運行される