総務省の内部文書を捏造だと主張した高市早苗経済安全保障相(写真:つのだよしお/アフロ)

(谷 龍哉:ネット情報アナリスト)

 自分にとってよろしくないことを言われると、激昂したり、強い言葉を使ったりということは多くの人にとって経験のあることだと思います。

 どれだけ言葉を選んで話をしようと思っていても、ついつい口から強い言葉が出ちゃう時があるのが人間ですよね。

 本件は、「政治的公平に関する放送法の解釈について(磯崎補佐官関連)」と題された総務省の内部文書を、内部告発者経由で小西ひろゆき氏が入手し、2023年3月3日の参議院予算委員会で質疑に挑んだ結果、高市早苗氏が捏造だと主張し、議員辞職が絡む話となってしまったのが始まりになっています。

 しかし、公開された内部文書を読むと、その大半が高市氏の知らない内容であり、実際に議員辞職をすることはないと考えています。

 内部文書の正確性をどこまで認めていくかという点と、放送法の政治的公平性についての解釈で議論が進んでいき、どこかで落としどころを見つけて終わるのではないでしょうか。

 この内部文書の概要を簡単に説明すると、1964年4月28日の国会で示された放送法の「政治的公平性」についての解釈が、今でもそのまま引き継がれていることに対して、礒崎陽輔氏(当時総理補佐官)が補充的説明として、解釈を応用のきく範囲で具体的にできないかと奮闘する一連のやりとりが、総務省側の視点から行政文書として記入されているものです。

 中盤からは登場人物が激昂する場面がそのまま記入されていたり、あの人はこういう人なので配慮をしておくなどの、裏でフォローするやりとりがそのまま記入されていたりと、中々に刺激的な読み物になっているので、時間のあるかたは一度読んでみることをお勧めします。

【参考資料】
政治的公平に関する放送法の解釈について