ダークトライアド特性を見抜くには
──ダークトライアドは、上層部からの評価は高いものの、一緒に働く人や部下からは悪い印象を持たれがちです。従って、彼らの昇進を食い止めるための手段として、「一緒に長く仕事をしていた同僚や後輩に彼らの評判を聞く」という手法が書籍内で紹介されていました。実際に、このような取り組みをしている企業はあるのでしょうか。
津野:日本では、ほとんどないと思います。
一般的に「邪悪な性格特性」を持つ人は、パワハラで他者を潰してしまう可能性が高い。どんなに業績を上げても他者を潰すような人材を、企業は許してはいけないと私は考えています。
経営者や管理職向けの講演で、私は「パワハラをしやすい性格というものが存在している」ということを伝えるように心がけています。このような啓蒙活動を続けていけば、昇格判定時の際に、第三者へのヒアリングを実施する企業が増えていくのではないかと期待しています。
時折、採用担当の方から「採用時に邪悪な性格特性の人を見抜く方法はないのか」と聞かれることがあります。しかし、そのような性格の人を組織から完全に排除するべきではありません。彼らは冷徹な判断を下せるため、仕事によってはそのような性格がプラスに出ることもあります。
ただ、部下を持たせると傷つけたり、潰してしまったりする可能性が高い。実際にそういったことが発生したら迅速に処分する。できれば、なるべく部下を持たせないようにする。持たせる場合には、潰されないような人を下につけて慎重に様子を見る。そのような対応が必要となります。
そもそも日本では、一般的に「経験が豊富」「業績を上げている」ということが昇格基準となっています。昇格において、個々人の性格が取りざたされることはありません。
さらに、管理職に昇格する社員に対して、どうしたら部下を傷つけずに生産性を上げられるのか、を身に着けてもらうためのトレーニングの提供もない。
本来であれば、管理職候補者に対して、「多様なバックグラウンドを持つ部下に対してどのように対応するべきか」「どうすれば部下を潰さずに部下のモチベーションを上げられるのか」という点をしっかりトレーニングした上で、昇格させるべきでしょう。
──日本では、どのような人がパワハラをすることが多いのでしょうか。