「お気楽」なのはいったい誰なのか

 思えば、新聞社時代は、やたら「すみません」ばかり言っていた。紙面制作の佳境の時間なのに、子どもを迎えに行くために退社してすみません。夜間の事件発生に対応できなくてすみません。突発の出張に対応できなくてすみません。そんなのばっかりだった。

 結婚せず子どももいなかったころ、男性の上司に言われたことがある。「お気楽でいいなぁ、お前は」「俺には守るものがあるんだ」。別の男性上司はこんなことを言っていた。「お前も、親になってみればわかるから」

 あの「おっさん」たちはいったい、何を言いたかったのだろうか。

 それにしても、子どもがいるはずなのに、育児とか家事とか家の用務があるはずなのに、なんであんなにダラダラ会社にいることができたんだろう。今となっては、お気楽なのはむしろ彼らじゃないかとすら思える。

 親になってみてわかったのは、会社組織があまりに「おっさん」だらけだということだった。