タイでは屋台でコオロギの素揚げがスナックとして売られている

 昆虫を食べること、それも「コオロギ食」が物議を醸している。というより、騒動になっている。

 徳島県立小松島西高校が、食用コオロギを手がける徳島大学発ベンチャー企業の「グリラス」からコオロギパウダーの提供を受けて、ひき肉のかわりに使った「かぼちゃコロッケ」を給食で試食したのが昨年11月のこと。希望する170人ほど試食した。事前にアレルギーの説明もあったようだ。

 そして今年2月にはコオロギエキスを使った「大学いも」を提供。すると学校にクレームの電話や批判が相次ぐ。

「子供にどうして食べさせるのか」「コオロギの安全性や衛生面は大丈夫なのか」「未熟な子どもに食べるかどうかを選択させるのはおかしい」「急にコオロギを推しすぎていて、何らかの思惑や利権を感じる」などなど。

SNSで広まる「コオロギ食べない連合」

 Pascoで知られる「敷島製パン」は2020年12月から、高崎経済大学発の昆虫食のベンチャー企業「FUTURENAUT」と共同で「Korogi Cafe(コオロギカフェ)」シリーズを展開。パンやフィナンシェなどにコオロギパウダーを配合し、通販限定で販売している。メディアにも多く取り上げられ、製造過程がテレビで映し出されもした。

 ところが、先月中旬ころから昆虫食の是非がツイッターで議論されるようになると、不買運動の呼びかけやデマや陰謀論が飛び交うようになり、対応に苦慮しているという。

 ツイッターを覗くと、先月から保守系の作家と女性ジャーナリストが「#コオロギ食べない連合」の呼びかけを開始。それも昨年の2月に徳島発のベンチャー企業のイベントにゲストとして出席した河野太郎デジタル大臣が、やはり「グリラス」が提供する「乾燥コオロギとミックスナッツあえ」を試食したことをネットニュース番組で取り上げたことが発端だった。