1月22日、ニューヨークのチャイナタウンで春節を祝う人々(写真:ロイター/アフロ)

(譚 璐美:作家)

 2020年春以来、米国ではコロナ禍によるアジア人に対する暴力、傷害事件が急増している。

 米国の人権団体「ストップAAPI(アジア・太平洋諸島系)」が発表した報告書によれば、2020年3月19日~2021年2月28日までに米国で発生したヘイトクライム事件(増悪犯罪)は3795件に上り、前年同期間の約2600件に比べて1000件以上増加。具体的には「言葉による嫌がらせ」(70%)、「敬遠」(20%)、「身体的暴行」(11%)の順に多い。

 被害者の人種別でみると、中国系(42%)が最も多く、次いで韓国系(15%)、その他は各10%未満、日系は6.9%である。

 また、被害者の68%は女性が占め、男性の2.3倍。州別でみるとカリフォルニア州が1691件で全体の45%を占めた。

NY市警にアジア人へのヘイトクライムを取り締まる特捜班

 シンクタンクの「ピュー・リサーチセンター」(本部ワシントンDC)の調査によれば、新型コロナの爆発的感染が始まって以来、米国の成人の約4割がアジア人に対して差別的見方をすることが一般的になっているという。

 ニューヨーク州でも、2020年11月28日までにアジア系住民に関する128件(前年同期比357%増)のヘイトクライムが発生(ニューヨーク市警犯罪統計)。それが2021年以降急増した。とりわけチャイナタウン周辺で暴力事件が多発し、自宅アパートへ帰宅中の中国人女性が、後ろから付いてきた見知らぬ男性に押し入られ、5階の窓から突き落とされるという事件も起きた。