ニューヨーク市警(NYPD)は2021年8月、アジア系へのヘイトクライムを専門に取り締まる特捜班(Asian Hate Crime Task Force)を設置し、私服警官を配置してチャイナタウンの警備を強化。ヘイトクライム事件は2021年3月から5月に最多となった。

「普通」に見える人物が突然暴行

 2021年にニューヨーク市で起きたヘイトクライム事件の一部をあげてみよう。

●3月6日、地下鉄J線の車内で乗客のアジア人男性がカミソリで顔を切り付けられた。
●3月8日、地下鉄14丁目の駅構内で男性がハンマーで頭部を殴られ負傷した。
●3月11日、自宅アパートのエレベーターホールで女性が125回にわたり殴打された
●3月29日、マンハッタンのウエスト43丁目を歩いていたアジア系女性が男から蹴り倒されて頭部を踏みつけられ、何度も激しい暴行を受けた。この事件では、現場の前のビルにドアマンとコンシェルジュが居合わせたが制止したり通報したりせず、ただ傍観していて、犯人が立ち去った後も女性を助けず、黙ってドアを閉めた。後に、ドアマンとコンシェルジュはビルの管理会社に解雇された。
●同日には、ブルックリンからマンハッタンへ向かう地下鉄車内で、乗客のアジア系男性が殴られ、首を絞められて意識を失う様子がソーシャルメディアに投稿された。

 ニューヨークの日系情報紙『週刊NY生活』が掲載した「コロナ禍で激増する対アジア人差別の検証と対策」(2021年4月7日付)によれば、2020年9月27日に日本人ジャズピアニストの海野雅威さんがハーレムの地下鉄駅構内の無人改札口で若者グループに差別的な言葉を吐かれ、暴行されて重傷を負ったのを始めとして、2021年以降、もはや米国在住の日本人・日系人にとっても他人事ではなくなったという。