ドイツの「国防体制大転換」は大嘘?

 なぜ、ドイツがそこまで供与を躊躇しているのか。

 米シンクタンク、「グローバル・パブリック・ポリシー研究所」(ベルリン)のソーセン・ベナー所長はずばりこう指摘する。

「ウクライナへのレオパルト2供与は、ドイツにとっても重大なステップだ」

「高い機動性を有するレオパルト2がウクライナの戦場に投入されることで戦闘はエスカレートし、ロシアがドイツに対して報復に出る可能性は十分考えられる」

「ドイツは、供与した後の米国からの最大限の保証が欲しい。ショルツ氏は躊躇する理由について具体的な言及は避けているが、ロシアがドイツを標的にするのではないか、と恐れている」

https://www.nytimes.com/2023/01/20/world/europe/ukraine-germany-us-tanks.html

 さらに別の米シンクタンクのドイツ問題専門家P氏は次のように分析する。

「ドイツは自分が直に供与することは言うに及ばず、ポーランドやフィンランドがウクライナに供与するのを承認することにも消極的だ」

「供与によってウクライナに対する武器支援の拡大が、遅かれ早かれ北大西洋条約機構(NATO)とロシアの全面衝突につながりかねないことを懸念しているのだ」

「とくに社会民主党は過去20年間、平和主義を掲げてきた。自分たちが武器支援拡大の先駆けになることだけは避けたい」

「ウクライナ問題はいずれ収拾するだろうし、その時になって自分たちが独ロ関係に致命傷を与えた張本人にはなりたくない」

「そこで、自らは先頭には立たずに、米国を巻き込みたいのだろう」

 ドイツ世論もウクライナへのレオパルト2の供与については、賛成47%、反対37%と二分されている。

https://tass.com/world/1564497

 ショルツ氏は、ロシアがウクライナを侵攻した3日後、戦後ドイツの平和主義への傾倒との決別、『Zeitenwende』(転換点)と宣言し、米国を喜ばせた。

 それがレオパルト2の供与では及び腰になっている。まさに総論賛成各論反対だ。

 米国との国家安全保障関係を深化させるドイツに強い警戒心を抱いてきたロシアもほっとしているのではないのか。

 それよりも何よりもレオパルト2という「恐るべき助っ人」の導入をめぐる新ウクライナ陣営のごたごたは、2月以降に大攻勢を準備しているロシアにとっては朗報だ。少なくとも時間稼ぎにはなる。