(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
2022年も残すところあとわずか。この師走の忙しい時期に、岸田首相は防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比で2%の水準まで増やす措置を講じるよう指示したと表明した。
政府内では前々から検討されていたのだろうが、我々国民にとっては不意を突かれたような感覚だ。防衛費を上げることには賛成だが、増税して国民に負担を負わせるよりも先に、海外へのバラマキ支援を止めたり、生活保護費を見直したり、新型コロナウイルスの給付金を見直したりと、することは他にもあるのではないか。
そういえば、岸田首相は2021年9月の自民党総裁選で「10年ほどは消費税を上げることは考えていない」と発言していた。これは、消費税は上げないが他は上げるという意味だったのだろうか。
それはさておき、日本が防衛費を上げることを表明してからというもの、韓国がとても騒がしい。
岸田首相が防衛費を増額すると表明した同じ日の12月6日、日本政府は「国家安全保障戦略」を2013年以来、9年ぶりに改正した。そこに政府は「日本固有の領土である竹島の領有権問題は日本の一貫した立場に基づいて毅然と対応し、平和的に解決するため、粘り強く外交努力を行う」と明確に記した。
2013年12月に国家安全保障戦略を初めて策定した際には、「竹島の領有権をめぐる問題は、国際法にのっとり、平和的に紛争を解決するという方針に基づき、粘り強く外交的努力をする」としか記されていなかった。
そのため、韓国は新たに「竹島は日本の固有領土だ」と主張してきた日本に腹を立てている。現に、韓国メディアは「日本の本音が如実に表れている」と非難。このことを伝えるアナウンサーの表情はどの人もとても深刻な顔つきだった。