(安田 理:安田教育研究所代表)
近年、付属校でもなく、指定校推薦の関係だけでもない、高校と大学の連携「高大連携」が進んでいる。名称の通り、高校と大学の教育をつなげるものである。高校生が事前に大学の“学び”について知ることで、大学入学後のミスマッチをなくすというのが表向きの趣旨だが、生徒募集、学生募集の点においては、相互にWin-Winの関係も築ける。いま、なぜ高大連携が増えているのか、そして何が魅力なのか──。
女子校と医療系大学のパターンが多い理由
今年に入り、いくつもの中高から「〇〇大学と連携協定を結びました」というお知らせが届いた。高大連携そのものは2007年ぐらいからあるが、当初はプロテスタント系の中高が同じくプロテスタント系の大学と連携するケースが多かった。それが2015年あたりから多様化しはじめ、宗教系でない中高と大学が連携協定を結ぶことも増えている。
安田教育研究所が把握している2022年までの主な高大連携のケースを表にまとめた。ここで取り上げているのは法人として連携協定を締結しているケースで、協定を結んでいなくても特定の学部・学科と密な活動をしている学校はこのほかにも多数ある。順天が古いが、これはAPUへの指定校推薦進学者が多かったことから始まったもので、この時期では例外的なケースといえる。
表を見て真っ先に気づくのは、とにかく女子校が多いこと。次に医療系の大学が多いことだ。なぜこうしたパターンが多いのだろうか。それは女子生徒の進学希望先として医歯薬看護系が多く、こうした分野の大学の学びを事前に知っておくことでモチベーションを高め、なおかつミスマッチを防ぐうえで有効だからである。大学によっては推薦入学枠を提供しているケースもある。
大学側も高校生に親近感を持ってもらい、優秀な女子の入学者を獲得するうえで有効な手段と考えている。