私立高校で広がっている「コース改革」の動き(写真はイメージ)

(安田 理:安田教育研究所代表)

 中学受験人口が8年連続で増えていることもあり、このところマスコミの中学受験報道が過熱している。その陰で高校受験はあまり注目されていないが、高校受験にも「共学化」「大学の系列化」「コース改革」など大きな変化の潮流がある。今回はその中から「コース改革」に注目したい。一般の方にも“いまどきのコース事情”は興味深いと思われる。

なぜ「コース制」が広がっているのか?

 高校の中でも難関校や付属校では「コース制」はほとんど採用されていない。これは、難しい入学試験を突破してきているので生徒の学力レベルが全体的に高い(そもそも低学力の生徒がいない)ことによる。もちろん入学後にはどうしても学力差が広がるので、英語・数学などの教科で習熟度別のクラス編成をしているケースは多い。

 一方、中堅校の場合は「コース制」を採り入れている学校が多数派だ。その理由は大きく2つある。

●入学者の学力幅が広い
 中堅校の場合は、上位校に落ちて入学してきた生徒や、偏差値以上のチャレンジ受験だったがたまたま合格した生徒、第一志望でその学校向けの対策に注力したおかげで合格を勝ち取った生徒など、多様な生徒が入ってきている。そのため学習の効果を上げるために学力別のコースを設けている。

●学力の高い層に入学してもらいたい
 学校側からすると、少しでも学力の高い層(難関大学を目指している層)に受けてもらいたいということで、「コース制」を採用しているケースが多い。受験生側もこうしたコースに身を置けば手厚いサポートを受けられるだろうと期待して選んでいる。

 以上のような2つの面から「コース制」が広がっているのである。