就職活動では、課外活動についてアピールする大学生が多いが・・・(イメージ写真:アフロ)

経済界などから「新卒一括採用廃止論」が出ている。背景には新卒で採用した社員が当初の期待通りの成果を挙げていないという事情がある。確かに、新卒社員が戦力になるかどうかは未知であり不確実だ。しかし採用する側にも問題はないだろうか。企業が「新卒」を「投資する価値がある人材だ」と確信するには、今のパターン化された採用活動を見直す必要がある。

(岡部 隆明:就職コンサルタント、元テレビ朝日人事部長)

 先日、友人数人で自分たちの就職活動体験について雑談していました。その中で、実家が「お寺」のUさん(40代後半の男性)は、「君は、いずれお寺を継ぐのか?」と面接のたびに聞かれたということです。彼自身は継ぐ可能性はあるものの、具体的な予定は決まっておらず、卒業後は企業で働くつもりでした。

「ああ、またこの質問か」と受け流すしかなかったようですが、「おそらくそれが原因で落とされた面接もあったのではないか」と、当時を思い出して憤慨していました。

 今では企業の採用面接で「家業を継ぐか継がないか」など親の職業や家族の状況を質問するのはタブーになっています。このほか出生地や国籍の質問もNGです。

 私はバブル経済の終盤、今から32年前の1990年の夏に就職活動をしました。さまざまな企業を受けましたが、当時、選考員は何を質問してもいいというか、随分といい加減だったように思います。

 その中でも強く印象に残っているのは、ある製造業で、選考員から唐突に聞かれた質問でした。