最近、よく見聞きする「Z世代」という言葉。メディアは昔から若者を「〇〇世代」と、ひとまとめにしてとらえ、「ゆとり世代はハングリー精神がない」など、厳しい視線で世代の特徴を語りたがる。こうした皮肉や冷笑ばかりがつきまとう「世代論」は世代間ギャップの拡大を助長するだけで、そんな見方は即刻やめるべきだ。
(岡部 隆明:就職コンサルタント、元テレビ朝日人事部長)
レッテルを貼られがちな新入社員
「ねえ、今年の新入社員は行儀が悪いの?」
数年前、入社式の翌日のことです。ある女性先輩社員にこう呼び止められました。テレビ朝日で採用責任者を務めていた私に、質問というよりは非難の響きの強い言葉をかけてきたのです。
「何かありましたか?」
逆質問してみると、「エレベーターの中で新入社員の2人がおしゃべりしていてうるさかった」ということでした。
たった2人の新入社員のおしゃべりで、あたかも新入社員全員の行儀やマナーがなってないような拡大解釈だと私は受け止めましたが、ここまで厳しい指摘ではないにしても、毎年、いろいろな立場の方から「今年の新入社員は〇〇だね」という評価を耳にしていたことを思い出しました。
新入社員のような「異質な」存在は目立ち、想像以上に関心を持たれること、しかも若者なので、年長者の厳しい視線が注がれること、そして、何かしらのレッテルを貼られることにあらためて気づかされました。