たった1枚の辞令が会社で働くビジネスパーソンの人生を左右する(写真:アフロ)

日本経済の低迷や閉塞を打破するには若い世代の変革のエネルギーが必要だ。「配属ガチャ」という言葉には、やや個人主義の行き過ぎも感じるが、若い世代にチャンスを与え、能力発揮できる環境を用意しなければならない。雇用制度の改革、とりわけ「ジョブ型雇用」の導入がカギになるのではないか。

(岡部 隆明:就職コンサルタント、元テレビ朝日人事部長)

内定式迎えても残る採用担当の不安

 10月3日、多くの企業で、来春に入社予定の学生の内定式が行われました。一昨年、昨年はコロナ禍の影響を受けてオンラインで実施したところが多かったため、「3年ぶりに対面による内定式が復活したこと」がニュースで強調されていました。

 今年は曜日の関係で10月3日でしたが、10月1日に内定式を行うのは新卒一括採用の慣例の一つです。6月1日時点で7割が「内々定」しているのが実状ですが、企業は「採用ルール」を遵守している体裁を取り、10月1日に内定式を開催して、「内々定している」学生に正式に「内定」を伝えます。

 企業の採用担当者としては、内々定を出した学生が「入社を辞退しないだろうか」と、ずっと不安を抱えています。したがって、内定式に学生が出席することで、一応、入社の意思を確認することができるので、内定式は採用活動の重要な通過儀礼となっています。

 しかし、採用担当がほっとするのもつかの間のことかもしれません。最近は別の不安が大きくなっているからです。それは、せっかく採用した学生が十分育つ前に辞めてしまうのではないか、ということです。

 内定式を含めて、採用活動の外見的なものは数十年前から変わらない一方で、内面的なもの、つまり学生の意識は変化しています。