給付ではなく相談支援に光を当てた生活困窮者自立支援制度の意味

生水:併せて、会計年度任用職員の問題もあります。困窮者支援の現場だけでなく、市役所全体がそうですが、正規職員が減る中で、会計年度任用職員、いわゆる非常勤職員が増えています。

 会計年度任用職員は1年更新の5年契約という雇用形態なので、身分が不安定です。しかも大半が女性。様々な相談に乗っている最前線の職員の雇用が不安定だという状況はどうにかできないかと思います。これは、委託を受けている外部の組織も同じではないでしょうか。

 私は待遇改善には正規職員にすべきだという考えですが、国の制度はそうではないので難しいですね。

──大きな流れは、「もっと効率化すべし」という方向性です。

生水:ここはみなさんに考えてほしいのですが、公務員不要、経費削減が本当に国民のみなさんのためになるのかということです。

 公務員の数が減ることで行政サービスの質が低下するということもありますし、正規職員の代わりに非正規の会計年度任用職員が増えることで、様々な現場の相談員が不安定労働になるという問題もあります。ここの待遇改善は、自治体における大きな課題だと感じています。審議会でも、生活保護ケースワーカーの非正規問題が挙がっていました。

林:生活困窮者自立支援制度で重要な点は、社会保障の中で相談支援というものを一つの柱として位置付けたところにあります。今まで相談というと、何かの給付に紐づいたおまけのような存在でした。要は、制度や給付を利用するために相談するという形が中心だった。

 その中で、この制度が新しかったのは、相談する、相談を受け止めるということ自体が一つの行政サービスになったことです。機能不全を起こしている社会保障をつなぐ一つの柱にするという文脈で、相談支援に光が当たったんです。

 その担い手である現場の相談員を大切にしなければならないという指摘は、その通りだと思います。

──現在、行われている社会保障審議会の議論はどういう方向にまとまっていくのでしょうか。(続く)