政府は電気代やガス代、ガソリン代などの負担軽減策を盛り込んだ総合経済対策を閣議決定する(写真:Stanislav Kogiku/アフロ)

(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

 岸田政権は10月28日に、物価高騰に対応するための「総合経済対策」を閣議決定する。

 物価への影響が大きくなるのは、電気代、都市ガス代の負担軽減策だ。10月26日に政府案が与党に提示され、その概要を主要各紙が報じている。電気代、都市ガス代の負担軽減策の内容、効果、そして課題について整理する。

負担軽減策の内容

 政府は電気代、都市ガス代の負担軽減策を新設し、2023年1月から開始、同年9月まで実施する方針だ。電力会社や都市ガス会社に支援金を配り、これを原資として使用量に応じた値引きを促すスキームになる。家計や企業が負担軽減額を毎月の明細書で確認できるようにする。

 電気代については、主に家庭向けの低圧契約で1キロワット時当たり7円分、主に企業向けの高圧契約で3.5円分引き下げる。標準的な家庭で1カ月当たり約2000円、率にして2割程度の負担軽減となる。

 都市ガス代については、家庭向け、および年間契約量1000万m3未満の企業向けに、1m3当たり30円分引き下げる。標準的な家庭で1カ月当たり約900円、率にして15%程度の負担軽減となる。

負担軽減策の効果

 政府は、電気代、都市ガス代、ガソリン代等の負担軽減策により、来年1月からの9カ月間で標準的な家庭の負担を4万5000円減らせると試算している。9カ月間で、電気代は約1万8000円、都市ガス代は約8000円、ガソリン代および灯油代は2万円弱の負担軽減となりそうだ。

 今般の各種負担軽減策は、消費者物価(CPI)に直接影響を及ぼす。家計には、物価押し下げを通じ、実質所得の改善がもたらされる。

 以下、CPIへの影響を整理する。