政府は物価高にどう対応するか(写真:AP/アフロ)

(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

2014年以来の物価高騰に直面

 日本経済は2014年以来の物価高騰に直面している。

 2014年の物価高騰は、8%への消費税率引き上げに円安進行の影響が重なったため生じた。当時は、アベノミクス・異次元金融緩和を発動して「トリクルダウン」を引き起こすことで、消費増税による景気への悪影響を和らげることが意図されたとみられるが、賃金上昇が物価大幅上昇に追いつかず、家計部門にダメージとなった。

 現在の物価高騰は、資源高に円安進行の影響が重なったため生じている。

 ウクライナ危機後、資源価格は高騰した。また、グローバルな物価上昇を受け、インフレ抑制のために世界の中央銀行が金融引き締めを実施する中、日本銀行は金融緩和を継続しているため、金融政策格差の拡大が意識され、円安が進行している。

10月に物価3%超えへ

 全国コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)の伸び率は、2022年8月に前年比+2.8%となり、2014年10月の+2.9%以来の高水準を記録した。今年10月にコアCPI伸び率が2014年9月以来となる+3%台へ到達するのはほぼ確実な情勢だ。

 10月は、食品や外食の値上げが相次ぐほか、火災・地震保険料引き上げ、そして増税に伴うたばこの値上げが予定されている。また、テクニカルには、昨年実施された携帯通信料引き下げに伴う物価押し下げ効果が剥落する影響も生じる。

 10月のコアCPI伸び率は、現時点では+3.2~+3.3%程度へ上昇すると予想するが、10月を迎える直前になって食品や外食等の値上げ表明が相次いでおり、上振れリスクがある。コアCPI伸び率は、2014年5月に記録した+3.4%に並ぶか、もしくはそれを超えて、1982年4月以来約40年ぶりとなる+3.5%へ達する可能性も出てきた。

 物価高騰により、個人消費に逆風が吹くとの懸念が強まっている。個人消費はどのような経路を辿るであろうか。以下、2014年の物価高騰局面と比較、個人消費の内訳動向も踏まえて、整理してみる。