現役晩年の2011年は日本の独立リーグ・新潟アルビレックスBCでプレーし、44歳を迎える翌2012年には選手兼任監督としてもマウンドに立った。異文化の壁を乗り越えながら世界中の野球文化を体感しコミュニケーションを深め、NPB歴代2位の通算286セーブ、史上2人目となるNPB・MLB通算300セーブ以上(313セーブ)という偉大な結果とともに名球会入り。2022年にはついに殿堂入りも果たした。
経験に裏打ちされた説得力
現役時代に高津監督とともに黄金期を支え、コーチングスタッフとしても名を連ねていたヤクルトOBの1人は次のように言う。
「これだけのバックボーンを持っている高津監督は経験主義が重んじられるプロ野球界の指揮官として、やはり一語一句に説得力がある。それでも自らの華々しい経歴をハナにかけるような姿勢は絶対に見せることがない。現役時代に各国のプロ野球リーグで培ってきたコミュニケーションも重視し、選手たちをリスペクトしながらタクトを振るう。だから今のヤクルトは選手たちもついてくるし、若い芽もどんどん育ってくる環境になっている」
現時点では日本一連覇を目指すヤクルトが今年の日本シリーズでどのような結果になるか、当然ながら分からない。しかしながら、かつての黄金期に匹敵する強いスワローズを作り上げ、育成も怠ることなく両立させている高津監督の手腕は称賛されて然るべきだろう。令和時代の「理想的なリーダー像」と呼ばれる日も近そうだ。