2021年の東京五輪でも活躍した吉田正尚選手(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 間違いなく歴史に残る伝説の日本シリーズだった。そして、その激闘を制し悲願の頂点へと立ったのはオリックス・バファローズだ。

「SMBC日本シリーズ2022」第7戦(10月30日・神宮球場)で東京ヤクルトスワローズを5―4で下して通算成績を4勝2敗1分とし、26年ぶり5度目の日本一を達成。同じ顔合わせとなった前年の日本シリーズで苦杯を喫したヤクルトに見事、雪辱を果たした。

 1分を間に挟んで2連敗から巻き返しての4連勝。手に汗握る接戦が続き、最後の第7戦も5―0から8回に一挙4点を奪われて1点差に詰め寄られる展開となったが、ヤクルト打線の猛反撃をしのいで逃げ切った。

焦点となる主砲の去就

 試合終了の瞬間、三塁側ベンチに座っていた中嶋聡監督は感無量の様子だった。両手で頭を抑えながら崩れ落ちるようにして身をかがめた後、立ち上がって目尻を下げ、ここまで自らをサポートしてくれたスタッフたちと熱い抱擁を交わし合った。そして喜びに沸く選手らとともにグラウンドの中央に集まると胴上げされ、両腕を突き上げながら5度、宙を舞った。

 日本シリーズ優勝監督インタビューでは満面の笑みを浮かべて「非常にいい夜空でした」。レギュラーシーズン143試合を戦い抜いてリーグ連覇を達成し、クライマックスシリーズ(CS)も突破。そしてこの日本シリーズではヤクルトとのギリギリの死闘を乗り越え、あの名将・故仰木彬監督とイチロー氏(現シアトル・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)らが在籍していた1996年以来となる日本一の頂点へと駆け上がったのだ。ようやく重圧から解放され、相好を崩すのも当然であろう。