(舛添 要一:国際政治学者)
先週の私の寄稿、<「昔からウクライナは裏切りの国」、それがプーチンの歴史認識>(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72265)が、ロシアのメディア「EurAsia Daily」(10月19日号)に引用された。
ロシア語で読んだが、「前東京市長:ウクライナは絶えずロシアを裏切ったというタイトルが付されている。
私が記述した1917年のロシア(ボリシェヴィキ)革命から、内戦、ブレスト=リトフスク条約に至るロシア・ウクライナ関係史を、そのまま引用してある。それは歴史的事実であり、ボリシェヴィキとウクライナが対立し、ウクライナがドイツとの間でロシアより1カ月前にドイツと講和したことなどが書いてある。
「プーチンの歴史認識」がなぜか「前東京市長の歴史認識」に
ボリシェヴィキから見ると、怒りたくなるウクライナの反ロシア政策である。これがプーチン大統領の歴史認識だと説明したのだが、あたかも私の歴史認識であるかのように書いている。日本の政治家が、ウクライナを「いつも裏切る国」と見ているという記事に仕立て上げられている。
因みに、モスクワ市長のソビャーニンはプーチンの最側近であり、プーチンが大統領のときに官房長官、プーチンが首相のときは副首相であった。したがって、「東京市長」というのは、ロシア人にとっては、モスクワ市長との連想から日本の最有力政治家なのである。その日本の「大もの」政治家ですら「ウクライナはロシアを裏切ってきた」と言っているというのは、プロパガンダに使うのには実に効果的なのである。