中国海軍創設70周年国際観艦式に臨む習近平国家主席(資料写真、2019年4月23日、写真:新華社/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 中国共産党第20回党大会で、習近平総書記が台湾問題に関して「祖国の統一は必ず実施せねばならず、また実現可能である」と台湾統一を強調するとともに、「平和的に統一する方針は堅持するが、武力行使をはじめとするあらゆる手段を放棄するものではない」として、武力による統一(併合)というオプションを維持していくことを明言した。

 また、台湾の独立(厳密には中国からの独立的立場の維持)を強力に支援する方針を打ち出して中国共産党政府との対決姿勢を強めているアメリカに対して、「台湾統一は中国の国内問題である。中国の対応(軍事的威嚇や武力の行使をはじめとする様々な対応)は、台湾問題に干渉を企てる外国勢力や“極めて少数の分離独立分子”に向けられるものであって、“大多数の台湾同胞”に向けられるものではない」と牽制した。

 これまで米国のバイデン大統領はしばしば「中国が台湾に対して軍事攻撃を実施した場合、アメリカは台湾防衛のために行動することになる」と中国側を牽制しているが、具体的にどのような行動に踏み切るのかは明らかにしていない。

 また、バイデン大統領がこの種の発言をすると、米政府当局者たちが「これまでの基本的対中姿勢を放棄したわけではない」とバイデン大統領の“勇み足”を否定することに躍起になる、といったパターンが繰り返されている。