富士通の勘定系システム「ホライゾン」。2003年当時使われていた端末(筆者撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[ロンドン発]「日本企業の富士通はどのようにポストオフィス(郵便事業のうち窓口業務を引き受ける英国国有の非公開株式会社)のスキャンダルの一端を担ったか」という見出しが10月14日、英BBC放送ニュースサイトに踊った。記事は、富士通こそがポストオフィスの勘定系システム「ホライゾン」が引き起こした大冤罪事件の核心だと指摘している。

(参考:外部サイト)https://www.bbc.com/news/business-61020075

「ホライゾンって何?」

 BBCの大井真理子記者のリポートによると、富士通に40年近く勤めた元社長は大冤罪事件について聞かれ「ホライゾン? ホライゾンって何?」と答えたという。

 現社長の時田隆仁氏は、1999~2015年にかけホライゾンで生じた現金不足のため身に覚えのない罪に問われ、文字通り塗炭の苦しみを味わわされた民間受託郵便局長(準郵便局長)ら706人について口を閉ざしたままだ。

 時田氏は「御用聞き的な従来型のIT(情報技術)企業からコンサルティングを起点に顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを支える経営パートナーに生まれ変わる」(東洋経済オンライン)構造改革の先頭に立つ。2017年から2年間ロンドンに駐在していただけに時田氏は元社長のようにホライゾンについて「知らぬ存ぜぬ」では済まされない。