1.太陽フレアの脅威
(1)太陽の活動周期
太陽から放出されるエネルギーは常に一定というわけではない。およそ11年周期で黒点数が増減するなど、太陽活動は変化し続けている。
黒点の多いときが太陽の活動が活発なときで極大期とよばれ、逆に黒点の数が少ないときは不活発なときで極小期と呼ばれる。
地球の気候の変動と黒点数との間には、関係があることが経験的に分かっているが、そのメカニズムについてはいまだ解明されていない。
太陽活動の周期には1755年以来、極小期から次の極小期までを1周期として番号が付けられてきており、2008年12月から第24周期が始まった。
第24周期の太陽活動は2014年に極大期を迎え、その後はおとなしくなってきた。
2020年9月15日、国際的な専門家グループからなる「太陽活動第25周期予測パネル(SolarCycle25PredictionPanel)」が、太陽活動は2019年12月に極小となり太陽活動の第25周期が始まったと発表した。
第25周期の極大期は2025年7月頃になると予測されている。
(2)太陽フレア
太陽フレアとは太陽表面で起こる爆発現象である。
既述したが、太陽には活動の周期がある。その活動が活発になると、太陽表面で巨大な爆発現象が起きるようになる。
フレアの爆発によってコロナに漂う荷電粒子(プラズマ)は宇宙空間へ放出され、これが太陽風となって地球に到達する。
そして、このプラズマ粒子がオーロラを発生させる要因の一つとなる。
太陽フレアは可視光線だけでなく、ガンマ線や紫外線、X線などの電磁波(放射線)も同時に放出する。
また、強大な太陽フレアは極めて高エネルギーの粒子(数万~数10億電子ボルトの電子や陽子・重イオンなど)を放出する。
さて、太陽フレアの影響は3段階に分かれて地球に到達する。
まず第1波は約8分後、光の速さでX線など強い電磁波が地球に到達する。これによって無線通信や放送に障害が起き、カーナビや地図アプリでもおなじみのGPSなど測位衛星の精度が落ちるといった影響が出始める。
続く第2波は約30分~数時間後、高エネルギーの粒子が地球周辺に到達し、人工衛星が故障するなどのリスクが生じる。
また、宇宙ステーションや国際線の航空機に乗っている人たちは、通常より多い放射線を浴びることがある。
さらに第3波は2~3日後、電気を帯びたガス(プラズマ)が太陽風として地球に到達する。
その結果、磁気嵐などを引き起こし、人工衛星の軌道が影響を受けるほか、地域によっては停電が起きるおそれもある。