実現できれば、非常に画期的なプランと言えそうだがハードルは極めて高い。発表ごととはいえ、2部制開催について「検討していく」という表現を用いていることからも高野連には残念ながらウヤムヤ感が見え隠れする。

実現には課題が多い2部制開催

 早朝に試合を組むとなれば、甲子園の近隣住民への配慮としてブラスバンドの応援だけでなく周辺に響き渡る場内アナウンスでさえもNGとなる可能性がある。

 しかも夏の甲子園は準々決勝まで1日4試合が基本。朝2試合、夕2試合に振り分けるとすれば、第1試合の開始時刻は第2試合が終了までに昼間の時間帯にかかってしまうことを避けるため早朝6時台に設定しなければならなくなりそうだ。現地に余裕をもって到着したい応援団や観客にとっては公共交通機関の始発を利用できるか、かなり微妙な時間になってしまうかもしれない。

 また、朝と夕の1日2部制になることによって観客の入れ替えや、大会関係者および甲子園の球場スタッフを長時間確保、もしくは朝夕別々の時間帯でシフト調整が可能な人員がいるのかなど細かい点においても解決すべき案件が実は多い。

 高野連関係者の間からは「来夏以降の導入について議論していくというが、すでにこの2部制案については各地域の高野連、あるいは甲子園常連校の間から異議も唱えられている。アイデア的には確かに悪くはないが、第1試合で早朝のプレーボールを強いられるケースを考えると調整がかなり難しい。現状を見る限り実現性に乏しく、結局は単なるアドバルーンで終わってしまうのではないか」との本音も飛び交っており、早々と諦めムードが漂い始めている。