(大西康之・ジャーナリスト)
横浜DeNAベイスターズ外野手、筒香嘉智(27)の「高校野球批判」が波紋を広げている。この1月25日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見し、過酷な日程で選手に負担を強いる高校野球のあり方に苦言を呈し「新聞社が高校野球を主催しているので(メディアも批判しにくいのでは)」と踏み込んだ。昨年は野球だけでなくアメリカンフットボール、レスリングなど様々な種目で「常軌を逸した指導」が問題になった。なぜ日本のスポーツ界ではパワハラ同然の指導が根絶できないのか。少年サッカー指導歴15年の筆者の視点で考えてみた。
甲子園で881球を投げた吉田輝星
1月25日の記者会見。筒香は海外メディアも数多く詰め掛ける中、少年、高校野球界における「勝利至上主義」に疑問を呈し「選手の成長より試合に勝つことが優先されている」「子どもの将来がつぶれてしまっている」と訴えた。
その上で「(メディア側にも)子どもたちにとってよくないと思っている方がたくさんいると思う。高校野球のすべてを否定しているわけではないが、子どもたちのためになっていないという思いを(メディア側が)なかなか伝えきれていない」とメディアの姿勢も批判した。
筒香の念頭にあるのは、昨年の夏の甲子園を沸かせた金足農業のエース、吉田輝星の「連投」だろう。
なにせ吉田は甲子園で7試合に登板。準決勝まで全て完投で3回戦と4回戦、準決勝と決勝が「連投」で、決勝の5回で降板するまでわずか2週間で実に881球を投げているのだ。直前の秋田県予選もたった一人で投げ切っているのだ。