(写真:アフロ)

 今年もまた夏の甲子園が始まった。8月6日から開幕した「第104回全国高校野球選手権大会」は球児たちの激闘が連日繰り広げられ、大きな盛り上がりを見せている。

 今大会では新型コロナウイルス集団感染のため県立岐阜商業(岐阜)と九州国際大付属(福岡)の2校が開会式を欠席。2校は初戦を前に辞退することも考えられたが、日本高校野球連盟や朝日新聞社など主催者側の大会本部が開幕日の6日、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインの改定に踏み切ったことで予定通りに出場が可能になった。

 これにより集団感染が起きた場合でも試合前の72時間以内に選手ら全員の陰性が確認された場合は出場を認め、一部の登録選手らの入れ替えも新たな規定で容認された。コロナ感染で涙の辞退となる悲劇を何とか回避させようと知恵を振り絞り、異例の救済策を急遽導入した大会本部には各方面から称賛の声が集まっている。

暑さ対策で朝夕の「2部制開催」を検討

 だが、問題はコロナだけではない。大会関係者が別のところで頭を悩ませているのは、夏の甲子園で近年“風物詩”のように議論を呼び起こしている暑さ対策だ。地球温暖化などの影響によって日本の8月は酷暑が続くようになり、気象台によれば今大会期間中も甲子園球場のある兵庫県南部は35度前後まで気温が上昇する日々が多くなるとみられている。

 この期間、炎天下の甲子園グラウンド上は最も暑い昼間の時間帯で体感温度40度以上に達する。今大会では1回戦が行われた7~9日の3日間だけでも試合中、計5校の選手の足がつるハプニングが発生している。いずれも大事には至らなかったが、担架で運ばれたり、他の選手に脇を抱えられながら苦痛に顔をゆがめつつベンチ裏で手当てを受けたりする選手もいた。厳しい暑さが影響していることは間違いない。大会本部は8日、各出場校に注意を促す通知を出している。

 もちろん主催者側はこの暑さ対策に対して何もせず傍観しているわけではない。

 日本高野連は今大会前の先月27日、将来的に朝と夕に試合を挙行する「2部制開催」も含め、さまざまな観点から暑さ対策を検討していく方針を発表している。一日の気温が最も上がる昼間を避け、比較的涼しい朝夕に試合を組むことで熱中症罹患の危険度を下げようというのが主な狙いだ。