これとは別に、チュン・チエ氏とアンドリュー・ヤン氏という2人の台湾出身のアナリストが昨年公表した研究によれば、中国が大規模な侵略を行う場合には数十万人の兵士と3000万トンの物資、500万トン以上の石油を輸送しなければならない。

 消費する燃料は1日当たり50万キログラムを優に超えるという。

 また、人民解放軍は今でも「不十分な空運・海運力、脆弱な地上インフラ、未熟な統合兵站システム」の足かせに苦しんでいると両氏は論じている。

習主席が自軍の強さをどう評価するか

 しかし、その一方で人民解放軍はこれらすべての分野で改善を進めており、以前よりもかなり手早く侵略軍を編成でき、台湾が軍を動員にかけられる時間が短くなる、とも指摘している。

 ウクライナにおけるロシアの戦いが示しているように、最終的に重要なのは中国の習近平国家主席と配下の将軍たちが自軍の強さをどのように評価するか、だ。

「人民解放軍はこれまで、台湾をめぐって米国と戦う時に必要になると思われる戦力を計画的に構築してきた」

 米国防総省国防情報局(DIA)で中国を担当した元上級アナリスト、ロニー・ヘンリー氏はこう説明する。これは決して非合理的な見方ではないそうだ。

「恐らく、初期能力は獲得している」

 今回の演習は、侵攻には至らなくとも台湾を困らせたり威圧したりする手段が中国にはたくさんあることを改めて浮き彫りにしている。

輸入に頼る台湾を孤立させる力

 8月初旬の演習区域は台湾で最も重要な3つの港――北部の台北、西部の台中、南部の高雄――のそれぞれに至る航路と、航空機が台湾の空港に着陸する際に使う空路をカバーしている。

 台湾のある将軍は8月3日、「空と海を封鎖されたに等しい」とこぼしていた。

 このコメントには若干の誇張があるが、商船が普段よりも長く、コストもかかるルートを取らざるを得なくなることは間違いない。