6月29日、トルクメニスタンで開かれたカスピ海沿岸諸国首脳会議に出席したプーチン大統領(写真:代表撮影/AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 ウクライナでの戦闘は止む気配を見せない。2月24日のロシア軍の侵攻から4カ月以上が経過したが、今後の展開はどうなるのか。戦争は長期化すると見られているが、いつまで続くのか。当事国以外の世界は、すでに「ウクライナ疲れ」、「ゼレンスキー疲れ」の状況であり、人々の関心は薄らいできている。

物価高に音を上げる庶民、西側では政権・与党の支持率が軒並み低下

 ウクライナ戦争の影響は、物価高という形でもろに庶民の生活を直撃している。石油や天然ガスの供給が減少したため、ガソリンや光熱費が高騰している。1リットルが170円というガソリン価格には日本人も困っているが、フランスは280円、イタリアは310円である。その不満は自国の政府に向かっている。

 6月19日に行われたフランスの国民議会選挙で、マクロン大統領の与党が過半数割れを起こしたのも、このインフレが原因である。政府の無策を批判する左派と極右が大きく票を伸ばした。

 直近の消費者物価指数の伸び率を見てみると、日本が2.5%なのに対して、アメリカが8.6%、イギリスが9.1%、ドイツが7.9%である。

 22日公表のロイター・イプソス調査によると、バイデン大統領の支持率は36%で、4週連続して低下しており、過去最低である。この傾向が続けば、11月8日に行われる議会の中間選挙で、民主党は上下両院のいずれかで少数派に転落する可能性がある。

 有権者の関心は経済であり、物価高が生活を困窮させているとして、バイデン政権の「無策」に対する批判を強めているのである。トランプ前大統領の最低支持率は2017年12月の33%であったが、ウクライナ戦争が長期化し、物価高に歯止めがかからないと、この数字以下に支持率が低下することも考えられる。