岸田文雄首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 6月22日、参議院選挙が公示され、7月10日の投票日に向かって選挙戦が始まった。

 定数248のうち、選挙区74,比例区50の計124議席と、神奈川選挙区の欠員1(この補欠選挙の当選者、つまり第5位の当選者の任期は3年である)を合わせた125議席が争われる。選挙区が367人、比例区が178人、合計545人が立候補している。

 改選の過半数は63であるが、与党が非改選(69)を含め過半数を制するには、56議席が必要となる。岸田文雄首相は、この数字を目標にしている。自民党が非改選も含め単独で過半数に達するには70議席が必要であるが、それは容易ではなかろう。また、改憲に必要な3分の2の議席を得るには、今回82議席を確保せねばならない。自公に加え、維新、国民民主党などの改憲勢力の得票も注目の的である。

1人区での「野党共闘」が不十分

 今回の参院選の特色は、野党が分立し、共闘が不十分であることである。2016年と2019年には、32の1人区で候補を一本化したために、野党はそれぞれ11勝、10勝と成果を上げている。今回は、候補の一本化に成功した1人区は11選挙区。これだと野党同士で票を奪い合うこととなり、自民党に漁夫の利を与えてしまう。選挙全体の勝敗を決するのは1人区なのだ。これが今回、野党の迫力不足につながっている。

 その中で有権者は、投票先を決定しなければならない。

 新型コロナウイルスの感染が2年半も続くという状況に加えて、2月24日にはロシアがウクライナに侵攻し世界を激動させている最中での選挙である。しかも円安が進行し、物価の上昇が国民の生活を直撃している。

 10年に1度は発生するという感染症への対応、ウクライナ戦争で大きく変わりつつある戦略環境への取り組み、そして物価高の対応と、政治に求められている課題は多い。

 これらの課題に対して、各政党、各候補者がどう対応するのか、有権者はそれをしっかりと見極めて投票すべきである。