筆者のインタビューに応じる「外国人志願兵のリクルーター」ライアン・ルース氏(木村史子撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[キーウ発]2014年、親露派のヤヌコーヴィッチ大統領を失脚させた「マイダン革命」の舞台になったキーウの独立広場。そこに立つウクライナ独立記念碑のそばには現在、世界52カ国の国旗と「世界には50億人の成人がいるのにウクライナでロシア軍と戦う外国人兵士はわずか5000人だ」と書かれたビラが貼られている。「ウラジーミル・プーチン露大統領に殺された外国人は287人」という立て札もある。

 各国の国旗には志願者と戦死者が書かれている。ジョージア(旧グルジア)1000~1500人(11~50人死亡)、エストニア500人(10人死亡)、ラトビア500人、米国400人(1人死亡)、ギリシャ300人(12人死亡)、リトアニア200人、ドイツ120人(2人死亡)、英国100人(10人死亡)、フランス100人(1人死亡)。日本は5人と記されている。

日の丸に「5人」と書かれている(筆者撮影)

外国人志願兵を50~60人リクルート

 「本当だろうか」。ビラに書かれていた連絡先の米国人ライアン・ルース氏にテレグラムアプリでメッセージを送った。約束の6月17日昼過ぎ、ウクライナ独立記念碑に行くと52カ国の国旗の前にルース氏が座っていた。

「国旗の数字はどこから来たの」と尋ねると「各国政府機関、民間人、ニュースいろいろなところからだよ」と話した。

 ルース氏は外国からウクライナにやって来る志願者のリクルーターだ。時と場合、場所によって任務は戦闘、食料や水の搬送など戦闘地域での人道支援に分かれる。ルース氏はこれまでに外国人志願兵として50人から60人ぐらいをリクルートしたという。「日の丸に5人と書かれているが、本当なの」と確かめると、「3人をリクルートした」とだけ答えた。