「取り残された住民は絶望してアルコールばかり飲んでいる」

 ドイツ人男性は支援活動に使うバンの写真をスマホで見せながら「キーウで赤十字のバンを3台、国連のバンを2台見かけただけで、ハルキウや東部ドンバスで見かけたことはないよ。まだ砲弾が飛んでくるからね」と話す。動けなくなった高齢者を抱えた世帯は逃げたくても祖父母を残して安全な場所に避難できない。自宅には砲撃から身を守る地下壕もない。

 米国人男性の“チェリーマックス(愛称)”は元米軍兵士で昨年7月までアフガニスタンに駐留していた。「混乱に陥る前にアフガンを離れた。自宅でゆっくりくつろいでいるのが性に合わないんだ。戦闘地域でバンを走らせている時、砲弾が落ちてくると、ワオッという気持ちになる。怖さなんか少しも感じないよ」とアッケラカンとして語った。

 しかし戦闘地域に取り残された住民の話になると表情が沈んだ。

「水や食料を配って回っても、絶望して生きる希望をなくしているんだ。アルコールばかり飲んでいる。戦争が何かを理解できない子供たちは外で遊んでいる。戦争孤児もいる。そんな様子を目の当たりにするとやり切れなくなる」

 みんな貯金をはたいてウクライナにやって来たボランティアだ。

 チェリーマックスはルース氏と会ってから同郷であることを知ったという。この3週間で7000キロメートルもバンで走行したとのことだった。