スイス人男性は「プロの兵士」で、1カ月と期限を切ってウクライナ入りした。これまで戦闘任務に参加した。所属した国際部隊の司令官は最初、外国人だったが「とにかく前進」というタイプ。次はウクライナ人で外国人志願兵に十分な情報や支給品を与えず、自費で食料を買うことすらあった。

 今回はルース氏が仕切る任務に加わった。このスイス人男性だけが「戦闘任務か、支援活動かは時と場合による。行ってみないと分からない」と打ち明けた。

ロシア国防省「少なくとも3221人がウクライナ側で戦闘を行っている」

ルース氏と米国、ドイツ、スイスから来たボランティア(筆者撮影)

 徒歩で移動する途中、軍隊経験のあるカナダ人男性が待っていた。カナダ人男性は元スナイパーで、戦場での医療にも精通しているとスイス人男性が教えてくれた。カナダ人男性はしばらくの間、自分が仲介する部隊の任務を説明したが、ルース氏と4人は先を急いだ。そこには欧州連合(EU)加盟国のナンバープレートがついた支援活動用のバンが止まっていた。

 チェリーマックスとドイツ人男性が交代でバンを運転するという。ルース氏と残りの2人は座席も窓もないバンの荷台に乗り込んだ。「一緒に荷台に乗っていくか」と誘われたが、断った。これからどこに行くのかは教えてもらえなかった。ロシア軍が携帯電話を追跡しているので、戦闘地域に入る時は電源を切っている。

 4人は荒くれ男というより、向こう見ずで、気のいい人たちだった。顔が見えないように後方から撮ることを約束して写真を撮影させてもらった。戦場には「戦闘」以外に「後方支援」などいろいろな任務がある。戦争は大砲戦に移行し、戦闘地域に住民が取り残されている状況では、水や食料を住民に配る支援活動にも大きな危険が伴う。

 ロシア国防省によると、2月24日以降、ウクライナのために戦う外国人志願兵6956人がウクライナに入り、1956人が戦闘で死亡、1779人が出国した。現在、少なくとも3221人が戦闘を行っている。欧州の中ではポーランドが1831人と最も多く、378人が死亡、272人が帰国した。日本人1人が現地に滞在中というが、真偽のほどは分からない。