ウクライナの歴史を変えたTVドラマ『サーバント・オブ・ピープル』
ロシアがクリミア半島を併合した翌年の15年、ゼレンスキー氏はTVドラマ番組『サーバント・オブ・ピープル(筆者仮訳:国民への奉仕者)』を制作して自ら高校教師役を熱演。この教師が政府の腐敗撲滅を叫ぶ様子を生徒がこっそり撮影しネットに投稿したところ爆発的に拡散し、予期せずしてウクライナ大統領に就任する――というストーリーの政治風刺劇だ。
ドラマではウクライナが実際に直面する問題が取り上げられ、視聴者の9割がゼレンスキー氏演じる架空の大統領に共感を持った。有権者は彼が祖国の救世主になるという幻想を抱くようになり、「マイダン革命」の支持者だったゼレンスキー氏もそれに応えて19年の大統領選に出馬し、決選投票で現職のポロシェンコ氏をトリプルスコアで退けた。
この時、ウクライナの歴史は変わった。プーチン氏の顔色を見ながら腐敗に目をつぶるのではなく、決然と自由と民主主義への道を進み始めたのだ。
「プーチンはゼレンスキーを単なるコメディアンと見誤りました。彼の本質は傑出したリーダーです」
シャイカン氏とナタリアさんは声をそろえた。